真夜中にわき上がるハレルヤ

無軌道という方向性

映画 アクションと社会派を両立したブラッド・ダイヤモンドがすばらしい

 ブラッド・ダイヤモンドの舞台はアフリカのシエラネオレという国です。シエラネオレと言えば最近では、エボラで話題になった地域ですが、資源が豊富なアフリカでは、それをめぐる争いが絶えない地域でもあります。平和な先進国の住人が、紛争ダイヤモンドを知らず知らずに買うことで、その資金が武器購入、間接的に人々の争いの後押しをしているとしたら、どう思われるでしょう。

これは実際、紛争ダイヤモンドという形で問題になったことを描いています。

 

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 レオナルド・ディカプリオ主演のこの映画は、アクションスリラーという形をとりながら、ブラッドダイヤモンドという社会問題に切り込んだ社会派の映画です。紛争ダイヤモンド、ブラッドダイヤモンドとはこういったものです。

ダイヤモンドなど宝石は、国際市場で高値で取引される。産出国にとっては貴重な外貨獲得資源とされるが、その産出国が内戦など紛争地域だと、その国は輸出したダイヤモンドなど宝石類で得た外貨を武器の購入に宛てるため、内戦が長期化および深刻化することになる。とくに反政府組織はこれら鉱物資源による外貨獲得とそれによる武器購入を広く行っている。その際には罪のない人々が採掘に苦役させることから人道上も大きな問題がある。

これら内戦の早期終結を実現するには内戦当事国の外貨獲得手段を奪うのが有力な手立てであり、国際社会はそれに取り組むべきだとされる。内戦当事国 に外貨が流れ込まないようにするために内戦国から産出するダイヤモンドなどを、「紛争ダイヤモンド」と定義し、関係業界はそれらを取引の対象外にすること が求められている

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 ディカプリオ演じるアーチャーは、そのダイヤモンドをと引き換えに、RUFに武器を供給する密売人をしていたが、この争いばかりの世界から足を洗いたいとも思っていた。

 

 一方、反政府組織RUFに村を襲われ、奴隷されたソロモン・バンディーは、ダイヤモンドの採掘場で強制労働をさせられていたとき、特大の数十億円はするピンクのダイヤモンドを手にする。

 

 それを知ったアーチャーはダイヤモンドと交換に、彼を助け、家族に合わせることになる。マディー・ボウエンはジャーナリストで密輸ダイヤモンドの秘密を取材していた。密輸ダイヤモンドの取材をさせる代わりに、アーチャーに協力することになる。

 

 タイトルのブラッド・ダイヤモンドは訳すと血塗られたダイヤ、強制労働で血塗られた、あるいは、争いで流れる血で染まったダイヤモンドは、先進国の市場に流れていきます。先進国では、アフリカのそういった実情を知らない、平和に暮らす人たちが買い求め、そして資金が武装勢力にという構図があるのです。

 

 つまり、争う者、売る者、買う者、すべてがこの紛争と、ブラッドダイヤモンドにかかわっているのです。

 

 大きく金が動くところには争いがある、その争いには当事者以外の多くのかかわっている、そして先進国での平和で豊かな暮らしは、誰かの苦しみの上に成り立っているという、身につまされる事実を突き付けてきます。

 

 現在シエラネオレでの紛争は終わったとされ、またブラッドダイヤモンドが流通しないようにするシステムもあるといいます。

 

 しかしこれで、問題は終わったのでしょうか、似たような構造は、現在でもあちらこちらに、見てとることができるのではないでしょうか。

 

 扱っているテーマは重苦しい内容ですが、さすがはエンターテイメントの国アメリカ、問題を提起したうえで、アクションものとしてしっかりと作られている映画だと思います。はっきり見える部分では、むしろアクション・スリラーに比重があると思います。

 

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 ドカンドカンやったり、ハラハラした展開があったりと、テンポよく進むので、アクション・スリラー映画として、何も考えずに楽しむのもいいしっかりとした映画です。

 

 タイタニックでの栄光と混乱の中で、自分自分は俳優であることをしっかりと再確認したレオナルド・ディカプリオ。彼の出演する作品には、彼のしっかりとした意思が貫かれていて、今後も期待できそうです。