真夜中にわき上がるハレルヤ

無軌道という方向性

新しいスキルを学ぶのに大切なこと 休息を取ることがカギ

f:id:YuYukun:20190907224628j:plain

ElisaRivaによるPixabayからの画像

 


  練習を小分けにすると、単位時間あたりの習得率が上がるといったことはよくわれることで、また、集中力持続のテクニックとして、25分集中して作業をし5分休憩すると高い集中力を保てるというポモドーロテクニックというのもがあって、こまめに休憩を取るほうがほうが良いということは、昨今よくいわれることです。

 

 物事を習得するときにはもっと積極的に、意識的に、早めに、休憩を取り入れたほうがより効果的かもしれないという研究結果が発表されました。

 

 

 

 レオナルド・G・コーエン医学博士は、カレントバイオロジーに発表した今回の研究の論文の筆頭著者であり、アメリ国立衛生研究所 アメリカ国立神経疾患・脳卒中研究所、主任研究員である。コーエン博士は次のように語った。

「物事が何か上達するためには一にも二にも練習を重ねることが重要だと考えがちですが、休憩をとることが練習することと同じくらい重要だということを発見しまた。」

 「私達に究極の希望は、この研究の成果が、脳卒中や神経の損傷で麻痺を負った患者が、失った運動機能を取り戻せるよう助けになることです。」

 

 

 この研究はコーエン博士の研究室の博士研究員のマリーン・ボンストラップ医師が指揮をとった。

 

 ボンストラップ医師は、人が新たな技能を獲得するとき、脳が記憶形成を強化するためには、一晩ぐっすり寝るといった長い休憩が必要だという一般的な考え方を持ってた。しかしアメリ国立衛生研究所臨床センターで、健康的なボランティアが参加して行われた、学習と記憶の関する実験で得られた脳波のデータを見て、そのボンストラップ医師は考えに疑問を持ち始めた。

 

 脳磁図(MEG)(のうじず、英: Magnetoencephalography)という高感度検査法を用いて脳波は右利きの被験者の、脳波が記録された。被験者はコンピュータスクリンの前に座り、長い円錐形の脳スキャン帽子をかぶった。

 

 実験内容は次のようなものである。スクリーンに一組の数字のが表示される。
被験者はその数字を10秒間でできるだけ多くその数字をタイプするというものだ。
10秒間の休憩、そしてこの練習と休憩を交互にあと35回繰り返す。この方法は、疲労やその他の要因からくる複雑さを減らすために使用される典型的な方法だ。

 

 予想されたように、正しくタイプするスピードは最初の数回で劇的に伸び、11回目辺りから頭打ちになったが、ボンストラップ博士は、参加者の脳波から面白い特徴を見出した。

 

 「参加者の脳波はタイピングしているときよりも、休憩中のほうが変化が大きいいようだということに気がついたんです。それで、学習は一体いつ起きているのか、練習中か休憩中なのかさらに詳しく調査することにしました。」

 

f:id:YuYukun:20190907225152p:plain

 Gerd AltmannによるPixabayからの画像

 そして、データを再び分析したところ、重要な鍵を2つ発見した。1つは参加者の能力は主に、短い休憩中に向上し、タイプング中ではなかったということ。休憩中の能力の向上分がその日の参加者の能力向上のすべてであったということである。

さらには、この能力向上は次の日に同じ実験をして得られた成果よりもずっと大きかった。これらが示すことは、早めの休憩をとることは練習そのものと同じくらい重要であるということである。


 もう一つの発見は、脳が休憩中に記憶を統合し固定化することを示す脳波のパターンを見つけたことである。

具体的には、ベータリズムという脳波の大きさが変化していること発見した。ベータ波は休憩中の参加者の能力向上と相関がある。
 
 さらなる分析、ベータ波の変化は主に脳の右半球と、行動の計画に関わる部位として知られる前頭葉頭頂葉につながる神経ネットワークに沿って起こる事がわかった。
これらのベータ波の変化は休憩中だけで起こり、ベータ波の変化は野力に関係する唯一の脳波パターンだった。

 

 「私達の研究が示すのは、この研究の結果が、別の形態の学習や、記憶形成に適応するかどうかは、未解決の問題だが、脳卒中の患者にリハビリを施すときや、あるいは、ピアノを習うときには、休憩をとるタイミングや間隔を最適化することが重要かもしれません。」とコーエン博士は述べた。


コーエン博士らのチームは更に詳細を研究していくことを計画している。

 

 

 

 ベータ波(ベータは、英: Beta wave)または、ベータ律動(ベータりつどう)は、
脳活動の周波数帯を表す言葉で、12 Hz (毎秒 12 サイクル) 以上のものを指す。
ベータ状態は通常の覚醒時の意識と関連付けられている。能動的で活発な思考や集中と関連付けられている。

 
 脳磁図(MEG)(のうじず、英: Magnetoencephalography)は脳の電気的な活動によって生じる磁場を超伝導量子干渉計 (SQUIDs) と呼ばれる非常に感度の高いデバイスを用いて計測するイメージング技術である。この計測法は研究面、医療面の両方に利用される。例えば、脳外科手術の際に病変の位置を決定したり、脳科学研究の際に脳や神経フィードバックや他の様々な部分の機能を決定するのに用いられる。

 

 

 いわゆる手続き記憶タイプの学習についての研究については、どのくらい練習してどのくらい休憩するのが効果的か、休憩中の技能の上達がどのくらい継続するのかはわかりませんが、もっとこまめに小休止を挟んだほうがいいのかもしれないことがわかったのは、学習者にとって大いに参考になるのではないでしょうか。

 

参考:Want to learn a new skill? Take some short breaks - Neuroscience News